【感想・あらすじ】ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2丨「人生の課題図書」の続編

こんにちは、mimeiです。
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2を読みました。感想を書いていきたいと思います。

こんな人にオススメ
  • 前作を読んで、続編が気になっているひと
  • 海外が好きなひと
  • いろんな文化に触れてみたいひと

「一生モノの課題図書」というキャッチフレーズで話題になった、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の続編です。

前作では中学入学から約1年半の物語でした。今作は中学3年目の約1年間の物語です。未来へと変化していく「息子」を、我が子のように応援したくなる作品です。

この本で学んだこと
  • 理解してもらいないと諦めるのではなく、どうやったら伝わるかを考えることが相手へのリスペクト
  • 誰にでも価値観の違いはあるということを意識することは大切。
  • 後悔する日も、しない日も、全部含めて“ライフ(人生)
目次

はじめに 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』

作品の情報

出版社 ‏ : ‎  新潮社
発売日 ‏ : ‎ 2021/9/16
ページ数 ‏ : ‎ 208

✔著者:ブレイディ みかこ
イギリス・ブライトン在住の保育士、ライター、コラムニスト。
福岡県福岡市生まれ。貧困家庭出身。日本在住の頃からパンクミュージックに傾倒し、ジョン・ライドン(ジョニー・ロットン)に感化される。高校卒業後に上京&渡英。その後一度日本に戻るが、1996年に再び渡英し、ブライトンに住み、ロンドンの日系企業で数年間勤務。その後フリーとなり、翻訳や著述を行う。英国在住は20年を超える。

あらすじ 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』

13歳になった「ぼく」の日常は、今日も騒がしい。フリーランスで働くための「ビジネス」の授業。摂食障害やドラッグについて発表する国語のテスト。男性でも女性でもない「ノンバイナリー」の教員たち。自分の歌声で人種の垣根を超えた“ソウル・クイーン”。母ちゃんの国で出会った太陽みたいな笑顔。そして大好きなじいちゃんからの手紙。心を動かされる出来事を経験するたび、「ぼく」は大人への階段をひとつひとつ昇っていく。

感想・学んだこと
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』

多様性は相手を認めることだと思っていた

母「こういう問題はさ、あれに似てるよね。母ちゃんが日本人だって言ったら、たまに胸の前
で手を合わせてお辞儀する人いるじゃん。でも、日本人が誰かに会ったとき、あんな挨拶を
する習慣なんてないよね。ただ彼らには日本人はああいう風にするっていう、ぼんやりした
イメージがあるんだ」

息子「間違ったイメージだよね」

母「でも、いちいち「間違ってますよ」って説明するのも面倒くさいし、彼らは彼らでこちら
に親しみを示すためにやってるんだろうなって思うから、母ちゃんなんかはそのまま笑って
流す」

息子「母ちゃんは確かにそうだよね」

息子「でもそれは母ちゃんが、この人たちの日本への理解はこの程度だって諦めているからとも
言える。でも、諦めない人たちもいるんだよ。あなたたちが本当に多様性や寛容さを大切に
するのなら、ヒジャブとか手を合わせてお辞儀するとかで終わるんじゃなくて、その先に進
んでくださいって。本当に日本の人は手を合わせてお辞儀しているのかとか、なぜムスリム
の女性たちはヒジャブを被っているのかとか、その先にあるものをちゃんと考えてください
ってね」

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』 本文より引用

多様性と聞くと、相手を認めて受け入れることだと、漠然と思っていました。この国の人はこういう文化だからと、どこか妥協していた部分はあったかもしれません。でもそれって、受け入れているようで歩み寄れていないんだなと気付かされました。

誰かのことをよく考えるっていうのは、その人のことをリスペクトしてるってことだもんね

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』 本文より引用

これは文化に限らず、価値観の違いにも当てはまることだと思いました。どうせ理解できないではなく、理解できないことこそしっかり話し合って共有していきたいです。

第三の性「ノンバイナリー」

「息子」の通う学校には「ノンバイナリー」の教員が2人います。ノンバイナリーは「第3の性」とも表現され、男性でも女性でもない、性別に規定されない人々を表す言葉のようです。

恥ずかしながら私は、ノンバイナリーという言葉を知りませんでした。

この学校ではLGBTQに力をいれていて、専門の相談員もいるようです。日本ではまだここまで浸透していないですよね。

アメリカでは「ze」「ve」という言葉がある

英語で3人称を表すとき、男性なら「he」女性な「she」を使いますよね?ではノンバイナリーの人々はどちらを使うのか。「息子」の学校のノンバイナリーの教員は、はじめの授業で「they」を使ってほしいと伝えるそうです。theyは複数を表す言葉なので、違和感はありますが、他に言葉がないのが現状なんです。アメリカでは 「ze」「ve」 という新しい言葉で対応しているそうです。

日本ではどうなるでしょうか?新しい言葉ができることは想像できないですね。

日常の中のノンバイナリー的考え方

父「そういう点では、俺はほら、あれだったな。お前が言ってた、ノンバイナリー。俺はだいたいアイルランドに住んだこともないんだから、アイルランド人でも英国人でもないし、信仰熱心じゃないから、カトリックで
りプロテスタントでもない。どっちにも属さない。別にジェンダーの話だけじゃないんじゃないの?」

息子「父ちゃん、いまなんか、ちょっと深いこと言ったね」

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』 本文より引用

正直、日本ではまだ、LGBTQやノンバイナリーは浸透していないと思います。ですが、性別に限らず、価値観の違いはあるということを意識することは大切だと思いました。

自分を笑い者にできる?

息子と母が、母の実家の九州に帰省したときの出来事で、個人的に好きな場面なので紹介したいと思います。

すると長身の若い黒人女性が珊瑚色の作務衣を着てこちらに向かって近づいてくるのが見
えた。へえ、アジア以外の国から来て働いている人もいるのか、と思って見ていると、何を
考えたのか、うちの犬が彼女に向かってけたたましく吠え始めた。これまで出動中の女性た
ちに「かわいい」とか言われて頭を撫でられてもじっとしていたくせに、急に火が付いたよ
うに彼女に吠えかかって行くので、親父が「なんばそげん吠えようとか」と言いながらリー
ドを強く引っばり、息子も「落ち着いて。興奮しないで」と犬に近づいて英語で話しかけて
いる。
若い黒人女性は綺屋な発音の英語で、
「いい子だね、大丈夫、心配しないで、ハンサムくん」
とに話した。
「すみません。いつもと違うところにしているから、興奮してるんだと思います。」
息子も英語でそう彼女に言った。
「とても賢い顔をした犬ね。1人だけ全く違うルックスの体の大きい人間が歩いて来たから、
『何だ、このクリーチャーは』ってびっくりしたのかもね。あはははは」
彼女は英語でそう言い、豪快に笑った。まったく嫌味な感じがなくて、その場をまるで楽
しんでいるような陽気な笑い方だった。なんとなく気まずい場面の空気をいっぺんに溶かし
てしまう、太陽みたいな明るい笑顔。
「柴犬はビューティフル。とても頭がいいし、いつか飼いたいです。私も犬が大好きだか
今度は流ちょうな日本語でそう言い残し、彼女は「バーイ」と歩き去って行った。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』 本文より引用

多様性は相手を認めることも大事だけど、自分がどう思われるかをちゃんと理解して、それを受け入れる器の大きさも大切だなと思いました。また黒人の女性が自分をネタにして笑いを取った行動も素晴らしいですね。平和の一端を垣間見た気がします。

心に残ったことば

でも、ライフって、そんなものでしょ。後悔する日もあったり、後悔しない日もあったり、その繰り返しが続いていくことじゃないの?

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』 本文より引用

13歳が言うにはませ過ぎですね笑
今作で一番すきな名言です。

まとめ

率直に、完結しないでくれーと思いました。とても素晴らしい作品です。何より13歳の「息子」の考え方が大人すぎますね。多様性の中で生きているからこそ悩むこともあるし、学ぶこともある。日本人がもっと知るべきことを小さな少年からたくさん教えてもらいました。今後の彼の成長が楽しみです。

この本で学んだこと
  • 理解してもらいないと諦めるのではなく、どうやったら伝わるかを考えることが相手へのリスペクト
  • 誰にでも価値観の違いはあるということを意識することは大切。
  • 後悔する日も、しない日も、全部含めて“ライフ(人生)
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