綿矢りさ『蹴りたい背中』あらすじ・感想・レビュー｜青春の裏側に潜む、切ない衝動

2024年4月27日

『蹴りたい背中』のあらすじや感想を知りたい
『蹴りたい背中』を読んだ人のレビューが気になる

本記事はそんな方の疑問にお答えします

綿矢りさの『蹴りたい背中』は、19歳の若さで芥川賞を受賞し、文学界に衝撃を与えた作品です。静かながらも心に響く力を持つ本作。登場人物たちの繊細な感情の揺れ動きが、読者の内面に深く訴えかけます。この記事では、その魅力を深堀りし、なぜ多くの読者がこの小説に惹かれるのかを探ります。

本記事でわかること

『蹴りたい背中』のあらすじ・感想
『蹴りたい背中』がおすすめな人
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『蹴りたい背中』のあらすじ

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本の詳細	内容
タイトル	『蹴りたい背中』
著者	綿矢りさ
出版社	河出書房新社
発売日	2007/4/5(文庫本)
ページ数	192ページ(文庫本)
Audible再生時間	4時間 08分

登場人物紹介

ハツ：高校1年生の主人公。クラスメイトとの交流がなく、いつも1人で過ごしている。
にな川：ハツと同じクラスの男子生徒。ハツと同じく孤立している。オリちゃん（ファッションモデル）の熱狂的なファン。
オリちゃん：にな川が思いを寄せるファッションモデル。ハツとも一度会ったことがある。

あらすじ

『蹴りたい背中』は、綿矢りさによる中編小説で、2003年に文芸雑誌『文藝』（秋号）で発表されました。この作品は、19歳の綿矢りさが史上最年少で芥川賞を受賞した作品です。

物語は、高校1年生のハツという女性が主人公で、彼女は学校生活になじむことなく孤独な日々を送っています。ある日、ハツは自分と同じくクラスから孤立している、にな川という男子生徒の存在に気づきます1。にな川は女性向けのファッション誌を授業中に読んでおり、その中にはオリちゃんというアイドルが掲載されていました1。ハツは偶然オリちゃんのことを見たことがあったため、にな川と距離を縮めていきます。

物語は、ハツとにな川、そしてハツの中学からの友人である絹代の間で展開されます。ハツはにな川の背中を蹴りたいという衝動に駆られ、その感情を探求する過程で、自分自身と他人、そして社会との関わり方について深く考えることになります

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『蹴りたい背中』の感想

『蹴りたい背中』は、青春の葛藤と混乱を繊細に描き出した作品で、読者に深い共感を呼びます。主人公のハツは、孤独という普遍的な感情を通じて、自己と他者、そして社会との関わり方を模索します。彼女の「蹴りたい」という衝動は、自己表現の一形態であり、自分自身を理解し、受け入れる過程を象徴しています。また、にな川との関係性は、他者とのコミュニケーションの難しさと、それによって生まれる新たな自己認識を浮き彫りにします。この作品は、青春期の複雑さをリアルに描きつつ、読者に自己探求の重要性を問いかけます。綿矢りさの繊細な筆致と深い洞察力が、この物語を一層引き立てています。

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『蹴りたい背中』を読んだ人のレビュー

Amazonレビュー

よくある高校生活の中でクラスの余り物である「私」と「にな川」の関係や、「絹代」の存在。恋愛や、いじめ、事故、事件などなにも無いのに心が揺さぶられる作品でした。

主人公のハツの気持ちが理解できたし、私は未だにそんな生き方をしている１人かもしれないと思った。ハツの、にな川の眼差しと狂喜じみた行動を見つめてしまう気持ちはなんなんでしょうか。分かるようで表現しづらいところが好きです。ハツのこと、私は好きです。

にな川はつかみどころのない気がつかえる優しくてかっこ良い男でときめきました。長谷川がオリチャンに夢中のにな川に嫉妬して彼を痛めつけたいような気持ちになる瞬間はわかるような気がしました。自分の彼氏との思い出を重ねて懐かしさがありました。

『蹴りたい背中』はどんな人におすすめ？

『蹴りたい背中』は以下のような人におすすめです。

青春期の葛藤に共感できる人：この作品は、青春期の混乱と孤独を描いています。自己探求の過程や他者との関係性について考えることが多い人には特に共感できるでしょう。
深い人間ドラマが好きな人：物語は、主人公のハツとその周囲の人々との関係性を中心に展開します。人間関係の複雑さや、それぞれのキャラクターが抱える感情を理解することが好きな人には、この作品が楽しめるでしょう。
現代社会の孤独や疎外感について深く考えたい人：この作品は、現代社会で生きる人々が直面する孤独や疎外感を巧みに描き出しています。

『蹴りたい背中』の名言

『蹴りたい背中』からの名言をいくつかご紹介します。

さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指で千切る。

傷口を見るのが怖いから、絆創膏を貼るんだよ。

私は、余り者も嫌だけど、グループはもっと嫌だ。できた瞬間から繕わなければいけない。

私は、自分で走りたいと思ったから、走ってるの。

『蹴りたい背中』：まとめ

綿矢りさの『蹴りたい背中』を閉じたとき、読者は登場人物たちの感情の機微に触れ、自らの青春を振り返ることでしょう。この小説は、私たち自身の内面と向き合うきっかけを提供し、読後には深い余韻を残します。ぜひ手に取って、その感動を自分のものにしてください。

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