- 『生殖記』のあらすじや感想を知りたい
- 『生殖記』を読んだ人のレビューが気になる

本記事はそんな方の疑問にお答えします。
朝井リョウさんの『生殖記』は、発売前からその衝撃的な語り手が話題を呼び、すでに10万部を突破している注目の作品です。一体誰が、何を語るのか?これまでの小説の常識を覆すような視点から描かれるのは、現代を生きる私たちの姿です。
なぜ私たちは社会の中で「当たり前」に馴染もうとするのか、結婚や子育て、仕事に駆り立てられる理由は何なのか——。読後、きっとあなたの持つ価値観にも新たな問いや気づき**が生まれるはずです。この本がもたらす、唯一無二の読書体験についてご紹介します。



本記事では、この作品のあらすじや感想、レビューを詳しくご紹介します。
- 『生殖記』のあらすじ・感想・レビュー
- 『生殖記』がおすすめな人
『生殖記』のあらすじ


本の詳細 | 内容 |
---|---|
タイトル | 『生殖記』 |
著者 | 朝井リョウ |
出版社 | 小学館 |
発売日 | 2024/10/2 |
ページ数 | 290ページ |
Audible再生時間 | 00時間00分 |
物語は、家電メーカー総務部に勤務する33歳の男性、尚成(しょうせい)が、同僚と新宿の量販店を訪れるシーンから始まります。体組成計を買うためではなく、「寿命を効率よく消費するため」という、彼の持つ独特な感覚が冒頭から提示されます。この小説の特異な点は、その語り手が「ヒトのオス個体に宿る〇〇」であることです。ゲイであることを隠しながら、異性愛者を前提とした共同体になんとなく擬態して生きる尚成。拡大や発展、成長を求める社会の価値観に距離を感じる彼の日常が、これまでにない斬新な視点から描かれます。大きな事件や派手な展開があるわけではありません。しかし、読者は語り手と共に、現代社会に暮らす人々の行動や心理、そしてそこに潜む違和感を客観的に観察し、深く考えさせられることになります。
『生殖記』の感想





この本を読んだ感想としては、以下のようなポイントが挙げられます。
この小説を読んで、まず圧倒されたのは、その「語り手の設定」がもたらす強烈な客観性です。まさか「生殖器」が語り手だとは、想像もしていませんでした。この視点だからこそ、人間の営みがまるで地球上に存在する多様な生命体の一つとして、フラットに描かれているように感じられます。
特に印象的だったのは、主人公の尚成が抱く「共同体の均衡、維持、拡大、発展、成長なんてどうでもいい」という感覚です。これは、私自身が職場での会議中などにふと感じることと重なり、非常に共感できました。私たちは多かれ少なかれ、所属する共同体の中で「言ってはいけない、なんとな~くの雰囲気」を読み取り、自分の役割を演じています。その「当たり前」や「普通」とされる価値観が、実は「生殖=拡大、発展、成長」に根ざしており、資本主義社会もその後に続いている、という語り手の指摘には「なるほど」と腑に落ちるものがありました。
物語は、主人公の大きな変化を描くわけではありません。しかし、語り手が生殖医療の発展や、自身の「話している」という現象を「人が消え始めている前兆」と捉える終盤は、まるで「次」の時代がすぐそこまで来ているかのような、独特の興奮と少しの寂しさを感じさせられました。読み終わった後も、自分の価値観や社会のあり方について、じっくりと考えを巡らせたくなる一冊です。
『生殖記』を読んだ人のレビュー





世代で価値観の違い有り!しみじみと!もっと早く読んで今時の若者の思考回路を知りたかった。そんな気持ちになりました。



初めて朝井リョウさんの本を読みましたが、とても面白かったです。
観点が独特でしたし、良く調べて書かれているのだと感じました。



あー面白かった!
語り手のテンションがちょうどよく軽い読み味で、私にとっては〝しっくり〟くる小説でした。同性愛者でなくともマイノリティ意識があったり、社会を成長させたい意欲がない人には共感できる部分があるかもしれません。
面白い小説って「終わらないで欲しいな、まだ読みたい!」って思ううちに終わっている。
『生殖記』はどんな人におすすめ?





『生殖記』は、 以下のような人におすすめします。
- 既存の社会や共同体の「当たり前」に違和感や疑問を感じたことがある人
- 自分自身の生き方や価値観について、立ち止まって考えてみたい人
- 斬新な設定や視点の小説を求めている人
『生殖記』:まとめ


朝井リョウさんの『生殖記』は、生殖器という前代未聞の語り手を通して、現代社会に暮らす私たちの**「生きる理由」や「共同体との関係性」に鋭く切り込む作品です。物語に大きな起伏はありませんが、その圧倒的な客観性とユーモラスな語り口は、読者に新鮮な驚きと深い思考をもたらしてくれます。読み終えた後、きっとあなたの心にも「しっくり」くる何かや、新たな視点が生まれるはずです。ぜひ手に取って、この独特な世界観を味わってみてください!