【書評・あらすじ】松下龍之介『一次元の挿し木』｜2025年第23回『このミステリーがすごい！』大賞

松下龍之介さんの『一次元の挿し木』は、「このミステリーがすごい！」大賞・文庫グランプリ受賞作という謳い文句と、その妖しく美しい装丁に惹かれ、手に取りました。本作は、ミステリー、SF、人間ドラマが見事に融合し、遺伝人類学やクローンといった科学の最前線から、倫理、そして人間の「存在の意味」といった根源的な問いに深く迫る、重層的なサイエンス・ミステリーです。読後は、単なる謎解きを超え、命の定義や人間の本質について深く考えさせられる、忘れがたい読書体験が待っています。ぜひ、その圧倒的な世界に触れてみませんか。

『一次元の挿し木』のあらすじ

本の詳細	内容
タイトル	一次元の挿し木
著者	松下龍之介
出版社	宝島社文庫
発売日	2025年2月5日 (文庫本)
ページ数	400ページ
Audible再生時間	00時間00分

物語は、大学院で遺伝人類学を学ぶ主人公・七瀬悠が、衝撃的な事実を突きつけられるところから幕を開けます。それは、ヒマラヤ山中で発掘された200年前の人骨のDNAが、4年前に失踪した彼の義妹・紫陽と完全に一致するという、常識では考えられない鑑定結果でした。この不可解な謎を追う悠の周囲で、担当教授の殺害や研究室からの人骨盗難といった連鎖的な事件が発生し、物語は一気に加速していきます。
やがて、悠の行く手には、彼を執拗に追う謎の大男・牛尾の存在、そして不穏な影を落とす新興宗教団体「樹木の会」の暗躍が立ちはだかります。悠は、妹の生死と人骨のDNAの真相を突き止めるべく、予測もつかない巨大な陰謀へと巻き込まれていくのです。
DNA鑑定やクローン技術といった複雑な科学的知識がベースにありながらも、SFが苦手な読者でもすんなり世界観に入り込めるよう工夫され、科学と倫理、人間の存在意義といった深いテーマを扱いながら、息もつかせぬサスペンスフルな展開が読者を惹きつけます。

この本は、Amazonの“聴く読書” Audible（オーディブル） の聴き放題で無料で聴けます。詳しくはこちらをご覧ください。

『一次元の挿し木』の感想

『一次元の挿し木』を読み終え、その圧倒的な読書体験にまだ心が震えています。「このミステリーがすごい！」大賞受賞作という謳い文句に偽りなく、ミステリー、SF、人間ドラマが見事に高次元で融合した傑作だと感じました。著者の松下龍之介さんがデビュー作とは思えないほどの筆力、巧みな構成力、そして引き込まれる文章力にはただただ感服するばかりです。

特に印象的だったのは、DNA鑑定、培養、クローン技術といった複雑な科学的知識が、物語の中で驚くほど分かりやすく描かれている点です。これがミステリーの核となり、物語に深みを与えています。また、主人公・七瀬悠の行動や目的が常に明確で、章や視点が細かく区切られていることもあり、400ページを3時間で読破してしまったという読者もいるほど、一度もダレることなく、ジェットコースターのようなスピード感で一気読みできました。グロテスクな展開も多いにもかかわらず、最終的には温かく美しい景色で物語が幕を閉じ、心地よい読後感が残るのもこの作品の大きな魅力です。

作中の「誰にでも、本当の意味で自分の人生を生きる時期が必ずどこかで訪れるのだと思います。」という唯の言葉は、自身の人生について深く考えるきっかけを与えてくれる、胸に迫るものでした。松下龍之介氏が本作を通じて伝えたい「命とは何か」「人間とは何か」という問いに簡単な答えはないというメッセージは、現代に生きる私たちに、自分の存在と他者との繋がりについて深く問いかける力強いものであり、重いテーマながらもそこに滲む「それでも生きてほしい」「誰かを想い、想われたい」という優しさと希望は、読後にほんのりとした温かさを残してくれました。

『一次元の挿し木』はどんな人におすすめ？

＼ 今なら「無料で読める」キャンペーン中 ／
>> この本をAudibleで読んでみる

『一次元の挿し木』：まとめ

松下龍之介さんの『一次元の挿し木』は、ミステリー、SF、人間ドラマがこれほどまでに高次元で融合した作品は稀に見る傑作です。ヒマラヤ山中の人骨と失踪した妹のDNA一致という奇妙な謎から始まり、読者を予測不能な陰謀と感動的な結末へと誘います。科学と倫理、そして人間の根源的な問いを深く掘り下げながらも、読後には温かさと希望が心に残る、重層的で美しい物語。ぜひ、この知的好奇心と感情を揺さぶる旅を体験し、あなた自身の「命」や「存在」について考えるきっかけにしてください。

Amazonの聞く読書「Audible」

Audibleは、Amazon運営するオーディオブックプラットフォームです。豊富なジャンルのオーディオブックを提供し、一流の朗読者による魅力的な朗読を楽しめます。高音質な音声やカスタマイズ機能も充実しているので、新しい読書体験をお求めの方におすすめのサービスです。また、ポッドキャストなどのオリジナルコンテンツも聴くことができます。

サービス内容

Audible	聴き放題(会員)	単品購入(非会員)
月額料金	1500円	平均3000円
タイトル数	40万冊	40万冊
聴き放題数	12万冊（日本語の本1万冊）	なし
ラインナップ	小説、洋書が多数、ポッドキャスト	小説、洋書が多数
会員特典	聴き放題、独自のポッドキャストが無料で聴ける、単品購入30%OFF	なし
無料体験	30日間	なし

メリット	デメリット
有名作品が多い 最新作が多い ポッドキャストが聴ける 仕事や家事をしながら聴ける	金額が高め(本一冊の費用)

＼ 30日以内に解約すれば料金は発生しません／

Audibleの無料体験はこちら

＞＞聴く読書「Audible」の料金・サービス内容を徹底検証【口コミ評判から判明したメリット・デメリット】

＼ 1分で登録できて、退会も簡単／