- 『カフネ』のあらすじや感想を知りたい
- 『カフネ』を読んだ人のレビューが気になる

本記事はそんな方の疑問にお答えします。
今年、2025年本屋大賞を受賞した阿部暁子さんの『カフネ』を手に取りました。大切な人の死、そして人生のどん底ともいえる状況から始まる物語は、家事代行サービス「カフネ」の活動を通して、様々な生きづらさを抱えた人々と出会い、関わる中で、主人公が少しずつ再生していく姿を描きます。食事や日々の生活を整えることの大切さ、そして何より、人と人が寄り添い支え合うことの温かさを教えてくれる一冊です。



本記事では、この作品のあらすじや感想、レビューを詳しくご紹介します。
- 『カフネ』のあらすじ・感想・レビュー
- 『カフネ』がおすすめな人
『カフネ』のあらすじ


本の詳細 | 内容 |
---|---|
タイトル | カフネ |
著者 | 阿部暁子 |
出版社 | 講談社 |
発売日 | 2024/5/22 |
ページ数 | 304ページ |
Audible再生時間 | 10時間31分 |
41歳、法務局に勤める野宮薫子は、不妊治療を経て離婚し、心に深い傷を抱えていました。そんな中、溺愛していた12歳年下の弟・春彦が突然亡くなってしまいます。悲嘆に暮れ、生活も荒れ果てていた薫子のもとに、弟の遺言によって春彦の元恋人だという小野寺せつなが現れます。せつなは家事代行サービス「カフネ」で料理人として働いており、「カフネ(cafuné)」とはポルトガル語で「愛しい人の髪に指を絡める仕草」を意味します。当初、愛想のないせつなに苛立ちを覚える薫子でしたが、せつなの温かい手料理によって心が解きほぐされていきます。この出来事をきっかけに、薫子はせつなに誘われ、「カフネ」の仕事を手伝うことに。二人は様々な事情を抱える依頼主の家庭を訪問し、彼らの生活や心に触れていきます。対照的な性格の薫子とせつなは、時に衝突しながらも、共に働く中で少しずつ互いを理解し、絆を深めていくのです。弟の死の背景に隠された謎も絡みながら、二人の不器用な再生の物語が動き出します。
『カフネ』の感想





この本を読んだ感想としては、以下のようなポイントが挙げられます。
『カフネ』は、一見すると静かな物語のように感じられますが、その奥には現代社会の抱える様々な「生きづらさ」が丁寧に描かれています。家事代行サービス「カフネ」が訪れる家庭で垣間見えるのは、シングルマザーの疲労、認知症の親の介護に疲弊する娘、育児に追われる若い夫婦、家庭内のネグレクトやコミュニケーション不全など、決して他人事ではないリアルな問題です。これらの描写は、「普通」の仮面の下で、多くの人が必死に生きている現状を静かに、しかし鋭く突きつけます。
特に印象に残ったのは、「食べることは生きること」というテーマが深く描かれている点です。せつなの作る料理は、単にお腹を満たすだけでなく、食べる人の状況や好みに寄り添った温かい手料理であり、それは「あなたは一人ではない」というメッセージのように感じられます。読者の方のコメントにあるように、「どんなに悲しいことがあってもおなかは空くし。だから泣きながらご飯を食べたことがある人にはぶっ刺さる」 という言葉は、まさにこの作品の核心をついていると思います。食事を通して主人公とせつな、そしてカフネの利用者たちの心が少しずつほぐれていく様子は、読んでいるこちらの心まで温かくしてくれました。
また、主人公の薫子とせつなの関係性の変化も見どころです。最初はお互いに不信感や苛立ちを覚えながらも、共に困難な状況にある人々と向き合う中で、少しずつ互いの痛みを知り、認め合っていく姿に胸を打たれました。特に、子どもを強く望みながら授かれなかった薫子と、過去に深い傷を抱えるせつなの、子どもに対する考え方の違い。それを乗り越えて生まれる二人の間に、血の繋がりや従来の家族観を超えた深い絆を感じました。
『カフネ』は、不妊治療や同性愛、家庭内の抑圧といった語られづらいセンシティブな問題も扱っていますが、それを声高に訴えるのではなく、登場人物の目線を通して優しく、しかし確かに描いています。タイトルの意味である「撫でる」ように、読者の心にそっと寄り添ってくれるような物語です。
『カフネ』を読んだ人のレビュー





ストーリーの展開に伴い、想定する事象がことごとく異なり、
また、最近の世相を反映した内容もあり、読み進むごとに感銘を受けた



すいすい読めて面白かった。



概要を見て男性でも楽しめるか不安でしたが杞憂でした。さすがに本屋大賞受賞作はクオリティが高い。
『カフネ』はどんな人におすすめ?





『カフネ』は、 以下のような人におすすめします。
- 生きづらさを感じている、または現代社会が抱える問題に関心がある人
- 大切な人を亡くすなど、喪失感を抱えている人
- 誰かに寄り添うこと、誰かと共に生きることの温かさを感じたい人
- 食事や料理の持つ力に興味がある人
『カフネ』:まとめ


『カフネ』は、主人公の深い悲しみから始まりながらも、暗闇の中で優しい光を見つけるような物語です。日々の生活を整えること、誰かと共に食事をすること、そして生きづらさを抱えた人々が互いにそっと寄り添い助け合うこと。これらの当たり前のようで忘れがちな大切なことを、改めて教えてくれます。読み終えた後、きっとあなたの心にも温かい余韻が残るはずです。様々な悩みを抱えながら生きるすべての人に読んでほしい、希望を与えてくれる一冊です。ぜひ手に取ってみてください!